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カメラの基本

デジタル時代になって特にだけれど、シャッターボタンを押せば写ると思っている人も多いのではないだろうか。
それでも確かに写るが、それでは撮影者の意思は反映されない。
そのレベルで良いという人はそれで良いと思うが、さらに上のステップを目指すにはカメラの知識もどうしたって必要になる。

これは私の考え方だが、写真とは「空間と時間を切り取る」行為だと思う。
空間を切り取るというのは構図などの知識、センスが必要になり、 時間を切り取るというのはピンと来ないかもしれないがカメラの知識が必要だ。

フィルム時代から写真作品を撮っている人は比較的カメラの知識もお有りかもしれない。
フィルムは露出が狂えばその写真は救いようがなかったからだ。
ネガフィルムはプリントの際にまだ救いようがあったが、スライドなどで使うリバーサルフィルムは露出がシビアだった。
デジタルは(失敗の程度によるが)PCでの現像処理で救えるケースも多いが、 極端な補正は画質的にもよろしくない。

露出について

露出については"シャッタースピード""絞り""ISO感度"という要素が密接に絡み合ってくるが、その関係を説明する前にそれぞれの意味を説明しておこう。


・シャッタースピード(シャッター速度)
文字通りシャッターの速度の設定値であるが、 設定された時間分だけCMOSやCCDセンサーといったフィルムに相当する部分に 光が当たる(露光するという)。
カメラによるが長い方は30秒から短い方は1/4000sからそれより短いものもある。
カメラ上には1秒より短い時間は 2000 などとだけ表示されるがこれで1/2000(秒)を意味する。 1秒より長い時間は 5”などと表示される(例は5秒)


・シャッタースピード1/800秒(Canon)


・シャッタースピード2.5秒(Canon)   


・絞り
レンズから入ってきた光がフィルムに当たる際の 光の量を調整するためのもの。
数字が小さい方が開放値でフィルムに当たる光の量が多い。
値が大きくなると絞り込んだ状態でフィルムに当たる光の量が少ない。

また副産物的効果として、絞りは 被写界深度(ひしゃかいしんど) に影響する。
被写界深度とは厳密にはピントが合ってはいないが、合って見える範囲のこと。
絞りを絞り込むと被写界深度は深くなる。
視力の悪い人がよく目を細めて遠くを見ているのを見かけたことがないだろうか?
目を細めると視力が少し良くなったような気がするのは被写界深度が深くなっている状態だからである。
ポートレート写真などで背景をぼかしたい時など、積極的に絞り値を調整する。


・ISO感度
ISO(イソ)は国際標準化機構(International Organization for Standardization)の頭文字で深い意味はない。
昔はASA(アーサー)感度とも呼ばれていた。写真をやっている人の間では感度だけで通じる。
何に対する感度かというと、 光に対する感度
感度が高いとわずかな光にも反応するので暗い環境でも写真が撮れるが、 副作用としてノイズが多くザラザラした感じの画像になる。

それぞれの関係は?

先ずはシャッタースピードと絞りだが、これは常にペアである。

何に例えるのが一番わかりやすいか迷ったが、例えば日焼けサロンに行ったとしよう。

この場合、シャッタースピードは"光を浴びるている時間"
絞りというのは(現実にはありえないけど)薄布か何かで"光の量を調整した状態" と考えてほしい。

適度にこんがり焼きたい場合、

・短い時間で日焼けしたいと思えば(シャッター速度が速い)、光の量は多くなければならない(絞り開放側)、
・光の量を少なく優しい光で焼こうと思えば(絞りを絞った状態)、その分光を浴びる時間は長くなる(シャッター速度が遅い)。

どちらでも焼き上がりは同じになる。
(写真としての仕上がりは、被写界深度の違いくらい)

ISO感度は?

あなたと他にもう一人と日焼けサロンに行ったとしよう。
同じ時間、同じ光の量を浴びても、他のもう一人はあなたより日焼けしていなかったと想像してほしい。
なぜか。それは二人が光に対する感度が違うからだ。

この場合はあなたの方がもう一人より光に対する感度が高かったということになる(ISO感度が高い)。
もう一人の方があなたと同じ時間で同じだけ焼きたければ、より長い時間光を浴びるか(シャッター速度を遅く)、光の量を多くすればよい(絞りをさらに開放側に)。
感度が高い人の方が、より短い時間で(シャッター速度が速い)、より光の量が少なくても(絞り開放側)適度にこんがり焼けるのだが、
(これも現実的ではないが)感度が高いと仕上がりがキタナクなる

まとめ

写真では、これらのことを総合的に判断してそれぞれの値を決めて撮る。
この三つの要素の値が掛け算になるのか、足し算になるのかわからないけど、とにかく計算すると、適正露出という答えはつねに同じ値になるように調整する。
プログラムオートなどと呼ばれるモードはそれをカメラ側が自動的にやってくれるのだが、そこには撮影者の意思は無い
例えば屋内の暗い環境で、シャッタースピードを遅くして写真を撮ろうと思うか、絞りを開いて写真を撮ろうと思うか。
それこそが撮影者の意思であり、作品と呼べる写真へのステップだ。

もっと詳しく知りたい方は、これらの本をオススメします。

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