夜間撮影(夜撮)の設定等

夜撮と言っても
・止まっている飛行機を夜間撮影する
・動いている飛行機を夜間撮影する
の2種類があります。
夜の羽田空港と政府専用機

止まっている飛行機の例
夜の関西空港 シンガポールエア B747ジャンボ着陸

動いている飛行機の例

これらの場合ではカメラのセッティングも全然変わってきますが、共通の考え方の部分もあります。
先ずはその共通の部分から。

・三脚を使う

当たり前ですが、夜間撮影では暗いので必然的にシャッター速度は遅くなります。
手ブレ対策に三脚は必須です。
動いている飛行機の場合にも有効です。

・露出オーバーより露出アンダーを狙う

日本の航空会社のカラーリングは、白ベースで白色の面積の多い機体が多いです。
実はこの辺りが曲者で、日中の撮影でもそうですが白い部分が白飛びしすぎると 飛行機の丸い胴体の立体感がなくなり、平面的に見えてしまいます。
また、白飛びや反対の黒潰れというのはデータ的にも真っ白、真っ黒なわけで、それ以外の色データを持ちません。
こうなってしまうと、後から補正のしようもありません。
飛行機写真の場合、メインは当然飛行機です。
周囲の風景に多少の黒潰れが出たとしても、 飛行機の表情が優先です。
何度か、試し撮りをして適正な露出補正を設定しましょう。
RAW形式で撮っておくのも一つの方法です。
夜の羽田空港と政府専用機

意図的に露出オーバーの例を作ってみました。
これでは胴体の丸みが判らない。
夜の羽田空港と政府専用機

こちらは適正露出

・ホワイトバランスについて

私の場合は常にRAW形式で撮っているので、撮るときはオートホワイトバランスで撮っていますが、現像処理の段階で色温度(いろおんど)を調整します。
個人的にはやや青みがかった色が好みなので、白熱灯か、概ね3100K-3300K(ケルビン)位の設定に落ち着く場合が多いです。
RAW画像現像中 色温度調整


JPEGで撮る場合は後でそういう調整はできませんから、予め設定する必要がありますが、いくつかの設定で試 し撮りをしてみるのが一番無難です。
特に、夕方~日没~残照あたりの時間帯は光源バランスが時間とともに変化するので、細かく確認した方が良いと思います。

昨今のカメラは優秀ですから、オートホワイトバランスで問題ないと感じたならそれで問題ありませんし、 もう少し赤みが欲しいとか、青みを強めたいなど細かく調整したい場合は、色温度による調整になります。
色温度で調整する場合、適正値より K(ケルビン(色温度))の値が小さくなると青みがかった写真となり、値 が大きくなると赤みがかった写真になります。

ちなみに駐機場を照らす水銀灯は、経験的に白熱灯モードで概ね問題ない発色で上がると思います。

・可能な限り低いISO感度で

ISO感度は、昔はASA感度と呼ばれていましたが、 この数値が高くなればなるほど、夜間などの暗所撮影でより厳しい条件でも写真が撮れるようになります。
ただし、昨今は性能が著しく進化しているとはいえ、感度が上がればノイズが多くなり、ザラザラした感じの写真になってしまいます。

低いISO感度で写せるのであれば、なるべく低い感度で写すということを心がけてみてください。

・レンズフィルターは外す


クロスライトフィルターなど、夜間撮影の特殊効果を狙ったフィルター以外は外しておきましょう。
フィルターがあるがゆえにフレアやゴーストの発生源となる場合があります。

・エレベーターはなるべく使わない

エレベーターといっても人を乗せて動く昇降装置ではありません。
三脚のカメラが乗る中心部分の棒、その昇降部分をエレベーターと呼びます。
三脚を見てもらえれば解ると思いますが、 その部分は伸ばせば伸ばす分だけ頼りなくヒョロヒョロっと伸びていきますよね。
やはり、伸ばせば伸ばすだけブレに対しても弱くなります。

先ずは脚で高さを調整して、足りなければエレベーターを使う!
を、心掛けてみてください。

・三脚の脚は太い方から伸ばす

上項と同じ理由ですが、三脚の脚も根元の太い方から順に伸ばしましょう。
細い方から伸ばすと、強度的にどうしても弱くなりますから余計なたわみの原因になります。



・止まっている飛行機を夜間撮影する場合の設定


実は、この場合も二種類の状況があります。
・スポットなどに駐機していて、しばらくは動かないことが確定的な場合。
・プッシュバック後や滑走路への進入待機中など直ぐに動きだすことが想定される場合

関西空港 夜景 飛行機 

駐機中の飛行機はゆっくり写せる


この二つの差は何か?
後者の方は、手早く撮らなければならないということです。

先ずは前者の状況での私の撮り方です。
三脚へのセッティング、レリーズの取り付け、フレーミングは既に出来ているものとします。

先ずISO感度について、私は ISO 100-400、概ね200辺りを選択することが多いです。
撮影モードは 絞り優先モードで、 絞り値を6.3-8くらいに設定しています。
やや絞り込んで、被写界深度を深くした状態です。
もちろん、ボケ味を出したい場合はより小さな値(4.5とか6.3)でも構いません。
ただし、それ以上(11や15など)は逆に回析現象によって画質は甘くなるといわれる領域なので、 使わない方が賢明です。

私の使っているEOS 7Dは液晶画面を見ながらの ライブビュー撮影が出来るので、
ピントを合わせたい部分を拡大して、 MF(マニュアルフォーカス)でピント合わせしています。
露出も、ライブビューの画面を目安に露出補正をしてカメラ任せで撮っています。


では、 後者の急いでとる場合は?

基本的な設定は同じですが、 ISO感度を400ないしは600程度まで上げたり、 絞り値をやや小さくして、 概ね5秒くらいで写せるようにしています。

その程度であれば、エアバンドを聞きながら、まだ写せるとか、もう直ぐ動くとか対応が出来る時間だからです。

・三脚使用の固定写真の場合、手ブレ補正はオフ!


実は夜撮に限った話ではないのですが、
三脚にカメラを据えて、固定して撮る場合は手ブレ補正をオフにする必要があります。
というのも、理屈はよく知りませんが三脚に固定して特にカメラやレンズは動いて(ブレて)いないのに、 ゆ~っくりと手ブレ補正で像が動きます。
当然、長時間露光を余儀なくされるような夜撮ではブレの原因となりますから、 手ブレ補正は必ずオフにしておきましょう。

なお、私の場合はCanonのカメラしか使用していないのでレンズ内手ブレ補正となります。
ボディ内手ブレ補正の場合の検証はできておりませんが、ボディ内手ブレ補正の方も注意してみてください。

・エレベーターはなるべく使わない。
エレベーターといっても人を乗せて動く昇降装置ではありません。
三脚のカメラが乗る中心部分の棒、その昇降部分をエレベーターと呼びます。
三脚を見てもらえれば解ると思いますが、
その部分は伸ばせば伸ばす分だけ頼りなくヒョロヒョロっと伸びていきますよね。
やはり、伸ばせば伸ばすだけブレに対しても弱くなります。

先ずは脚で高さを調整して、足りなければエレベーターを使う!
を、心掛けてみてください。


・可能ならミラーアップで撮影(ライブビューモード含)

ミラーレスなら気にする必要の無いことなのでしょうが、 ミラー有りの従来型デジタル一眼レフではその構造上、どうしてもミラーの上げ下げ動作が必要です。
ところが望遠での夜間撮影(夜撮)となると、このミラーの上げ下げの衝撃(ミラーショック)でブレが発生する場合があります。
(飛行機の場合、衝突防止等や滑走路等の光源があるため、ブレがハッキリ残りやすいです)
カメラによってはミラーアップ撮影の設定が出来るものもありますし、デジタル一眼レフではライブビューモードにするとミラーアップの状態になります。
その状態であればミラーが上がった状態ですので、ミラーショックによるブレも無く撮影することが出来ます。

・レリーズ、リモコンが無いときはセルフタイマー

上項でも書きましたが、夜間撮影(夜撮)ではブレは大敵です。
ミラーの動き位でもブレとして記録されることがあるくらいです。
いくら三脚にしっかり固定しているつもりでも、三脚自体の剛性不足で三脚自体がたわむ事すらあります。

・超望遠では三脚+一脚でさらに固定

400mm以上の超望遠状態でカメラ、レンズを固定してとる場合は、レンズも長いですし、ちょっとした振れが大きなブレになることがあります。
そのため三脚座のあるレンズならば、レンズに三脚、ボディに一脚を刺して、振れ止めとする方法もあります。


・動いている飛行機を夜間撮影する場合



これも私の場合の撮り方ですが、 カメラはシャッター優先モード
ISO感度はオートモードに設定します。

シャッター速度の指定は、頑張ればブレずに写せるシャッター速度にしておきます。
まだ明るいうちであれば、そのような設定でも低いISO感度で絞りも開放より絞った状態で適正露出になるようにカメラ側が処理してくれます。

段々暗くなるにしたがって、絞りが開放値に。
それでも追いつかなくなれば、ISO感度を上げて対応してくれるはずです。

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